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神戸地方裁判所 昭和57年(ワ)544号 判決 1984年4月23日

原告(反訴被告) 住友不動産株式会社

右代表者代表取締役 安藤太郎

右訴訟代理人支配人 野家厚介

右訴訟復代理人弁護士 渡部紋衛

同 大嶋匡

被告(反訴原告) 木原秀幸

右訴訟代理人弁護士 羽尾良三

主文

原告の本訴請求及び被告の反訴請求をいずれも棄却する。

訴訟費用は、本訴反訴を通じてこれを一〇分し、その九を原告(反訴被告)の、その余を被告(反訴原告)の各負担とする。

事実

第一申立

(本訴)

一  原告(反訴被告、以下「原告」という。)

1 被告は原告に対し、金一、二二二万二、〇〇〇円及びこれに対する訴状送達の翌日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。

2 訴訟費用は被告の負担とする。

3 仮執行宣言

二  被告(反訴原告、以下「被告」という。)

1 原告の請求を棄却する。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

(反訴)

一  被告

1 原告は被告に対し、金一〇〇万円及びこれに対する反訴状送達の翌日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

3 仮執行宣言

二  原告

1 被告の反訴請求を棄却する。

2 訴訟費用は被告の負担とする。

第二主張

(本訴)

一  請求原因

1 原告は不動産業を営む会社であるが、昭和四六年六月頃から、神戸市北区鈴蘭泉台西地区(以下「本件地区」という。)において開発造成した宅地を被告や訴外宗教法人天理教神加分教会(以下「訴外教会」という。)ら多くの顧客に分譲販売してきた。

2 ところが、被告は右購入者である訴外廣川秀已ら一四名と共同して、訴外教会らを相手に昭和五三年一二月四日、同教会が原告から購入した神戸市北区泉台五丁目八番一〇の宅地(四三七・七三平方メートル、以下「本件土地」という。)上に建築中の教会併用住宅(以下「本件建物」という。)が建築基準法により締結、認可された別紙記載の鈴蘭泉台西地区建築協定(以下「本件協定」という。)六条に違反するとして、その建築工事禁止の仮処分(以下「本件仮処分」という。)を神戸地方裁判所に申請し(昭和五三年(ヨ)第八一一号)、昭和五四年一月三〇日、その旨の仮処分決定を得た。

そこで、訴外教会らは同年二月一二日、異議申立をなし(昭和五四年(モ)第五六五号)、原告もこれに補助参加して審理の結果昭和五五年七月二五日、右仮処分決定を取り消す旨の判決がなされたところ、被告だけが訴外教会のみを相手に控訴したが(大阪高等裁判所昭和五五年(ネ)第一四八二号)、昭和五六年五月二〇日、控訴棄却の判決により確定した。

3 ところで、被告らの申請により発せられた本件仮処分は、被保全権利及び出訴権限がないのになされた違法な仮処分である。すなわち、

(一) 本件建物の建築は協定六条に違反するものではないから、この点被保全権利を欠き不当である。

(1) 同条により協定区域内において規制される建物は「住居専用もしくは一〇条の運営委員会が住環境を阻害しないと認める店舗(医院)併用住宅」に限られているところ、右にいう「店舗(医院)併用住宅」の「店舗」とは、本件地区が建築基準法の第一種住居専用地域であることから、同区域で建築できる建物のうち、住居併用でなければ許されない事務所、店舗等を総称し、「医院」とは、単独で建築できる診療所、託児所、寺院、教会等を総称するものである。したがって、右条項の「店舗(医院)併用住宅」というのは、あくまで例示規定であって、教会併用住宅もこれに含まれると解釈すべきである。

(2) 本件協定一〇条により設置された運営委員会(原告が初代委員長に就任)は、昭和五一年六月頃、訴外教会からの申出にかかる本件建物の建築承認申請について、これを慎重に検討した結果、本件建物が一階部分(二〇九・二一平方メートル)を教会代表者ら家族の居住用とし、二階部分(二〇二・八八平方メートル)のみを教会用とする設計であって、何ら住環境を阻害するものではないから協定六条に適合する建物であると判断したので、昭和五三年八月一九日、当時運営委員長代行に任命されていた訴外稲村光彦(原告の従業員)がその名においてこれを承認したのである。

そして、その際、住環境の保全になお万全を期すため、運営委員会としては訴外教会から、建築にあたっては外装や看板の表示等をつとめて一般住宅風とし、外窓を二重構造とするなど防音設備にも配慮する旨の念書を提出させた。

(3) ところが、建築着工後暫くして、被告から、本件建物は六条に違反しているとの抗議がなされたため、運営委員長代行の訴外稲村において、前記承認にいたった経緯、事情を説明したが、被告はこれに承服せず、問題を地元の自治会に提起したので、その席上でも右訴外人が前同様の説明をして種々討議された結果、ようやく同年一〇月二一日に自治会もこれを基本的には承認するにいたった。

しかるに、被告はこれを不満として、近隣の住民を煽動するなどさまざまな阻止行動をとった挙句、あえて本件仮処分申請に及んだのである。

(二) 本件仮処分申請は、被告らに出訴権がなかった点でも不当である。

本件のように六条違反の問題で工事差止等を求める場合には、運営委員長でなければその出訴権がないことは本件協定八条及び九条において明定されているところであるから、単なる協定者にすぎない被告らの提起した本件仮処分申請が当事者適格を欠き不適法であったことは疑う余地がない。

(三) 以上のとおり、本件仮処分の申請につき被告らに少くとも過失があったことは明らかであり、このことは本件仮処分が異議訴訟で取り消されたことからも明白である。

したがって、被告は、不当な本件仮処分によって訴外教会の被った損害を賠償すべき責任がある。

4 訴外教会の損害

(一) 本件建物の建築工事中断に伴う養生工事費 金二七万二、〇〇〇円

(二) 右工事費用の値上がり分 金一、〇七五万円(内訳 建物建築工事費値上がり分 金九九二万七、五〇〇円、造園工事費値上がり分 金八二万二、五〇〇円)

(三) 弁護士費用 金一二〇万円(本件仮処分事件につき金五〇万円、異議事件の第一審につき金二〇万円、第二審につき金五〇万円)

以上合計金一、二二二万二、〇〇〇円

5 債権譲渡

訴外教会は、その後被告に対する右損害賠償債権を原告に譲渡し、昭和五六年七月一四日、被告に対し、その旨の通知をした。

6 よって、原告は被告に対し、右譲受債権金一、二二二万二、〇〇〇円及びこれに対する訴状送達の翌日から完済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する認否及び反論

1 請求原因1、2の各事実及び同3の事実中、原告主張の日に訴外稲村が運営委員長代行の名において本件建物の建築を承認したことは認めるが、本件協定条項の解釈は争い、その余の事実はすべて否認する。同4の事実は不知、同5の事実中、原告主張の通知があったことは認めるが、債権譲渡の事実は不知。

2 反論

被告は、本件建物が協定六条に違反するものと信じ、かつ本件のような経緯で発生した紛争を解決するためには、個々の協定者においても出訴することが特に許されると理解して本件仮処分申請に及んだものであって、この点被告がそう信じたことには相当の理由があり、何ら非難されるべき過失はない。すなわち

(一) 被告は肩書地の宅地を買い受けた際、原告から本件協定で許される併用住宅は「店舗」及び「医院」に限られると説明を受けており、その他の購入者らも同趣旨の説明を受けていたので、当時住民協定者の大多数は、訴外教会が建築中の本件建物(教会併用住宅)は明らかに協定違反の建築物であると理解していた。

しかも、本件建物についてした運営委員会の建築承認は、本件協定に違反するばかりでなく、原告の従業員にすぎない訴外稲村が運営委員長代行の名で委員会の開催、決議もないまま無権限でしたものであるから、到底適式な承認といえないことも明らかである。

そこで、当時被告は、原告にその事情の説明を求めたが、納得できる解答を得られなかったので、この問題を地元の自治会に提起したところ、その総会においても、本件建物が協定違反に当ることが確認され、建築反対の運動を起すことが決議され、以来訴外教会や原告らに対し、その建築工事の中止ないし善処方等を再三申し入れて種々交渉したが、事態は一向に解決されなかったため、やむなく法的手段によってこれを阻止せざるをえなかったのである。

(二) また、出訴権の問題についても、本件協定の八条及び九条では運営委員長に一応その権限が付与されているけれども、その反面、個々の協定者の出訴権までも認めない趣旨と解する根拠は極めて乏しく(これを制限する規定はない。)、この点は大いに法的議論の存するところである。

まして、本件の場合、当時、運営委員会は全く開かれず、委員の改選等も行われていなかったため、運営委員長にこれを期待することは困難な事情にあったから、協定者である被告らが出訴に及んだとしても、やむをえないというべきである。

(三) しかも、被告は、これら各協定条項の法的解釈問題などについて、予め弁護士の意見等を聴取した上、これに委任して本件仮処分の申請に及んだのである。

(四) 現に、この問題は本件の仮処分申請事件及びその後の異議訴訟ないし控訴審における各裁判所においてすら、その法的解釈が区々に分れた程、微妙な問題であった。

(反訴)

一  請求原因

1 被告は、肩書地の宅地を原告から購入して同地上に住宅を建築し、昭和五二年五月からこれに居住しているものであり、訴外教会は、右被告宅と道路を隔てて西側に隣接する本件土地を購入して昭和五三年九月頃から本件建物(教会併用住宅)の建築を開始し、その後本件仮処分による工事の一時中断などを経て昭和五六年春頃にこれを完成し(鉄筋コンクリート造二階建の教会併用住宅、一階二五一・〇一平方メートル、二階二〇二・八八平方メートル)、以来右建物において天理教の布教活動を営んでいるものである。

2 原告の責任原因

被告は、訴外教会の本件建物の建築が承認されたことにより、後記3のように平穏な生活を破壊されているが、その責任は、これを承認した原告がすべて負うべきである。すなわち、本訴で被告が反論主張しているとおり、原告は本件地区における分譲販売者として本件協定を作成した原始協定者であり、しかも、その第一期運営委員長の地位にあったものであるから、右協定の趣旨、目的に従って住環境の維持、増進を図り、違反者に対しては適切な是正措置等をとるべき責務があったのに、問題の本件建物のような教会との併用住宅も協定六条に含まれると曲解し、かつそのための委員会等も開かずに、住環境も阻害しないと独自に判断してその建築を承認したのである。

したがって、原告のした違法不当な右承認により建築された本件建物の存在とこれによって被った被告の損害との間には相当因果関係があるから、原告はこれを賠償すべき義務がある。

3 被告の損害

本件建物は本件地区で最大の建物で、外観も近隣の一般住宅と不調和であるばかりでなく、その大部分は訴外教会の宗教活動に使用され、毎日朝夕二回の礼拝と毎月一回の定期的礼拝には、多数の信者が集り鉦、太鼓、拍子木を打ち鳴らして音響を発するほか、信者の出入りは早朝から深夜にまで及び、また、その利用する乗用車、バス等が付近の路上に駐車する等、本件建物使用にともなう蝉騒は付近の静謐な住環境を著しく阻害し、特にこれと隣接する被告方の受ける被害は最も甚大で、その程度は明らかに受忍限度を超えており、これを慰謝すべき額は金一〇〇万円を下らない。

4 よって、被告は原告に対し、不法行為に基づく慰謝料金一〇〇万円とこれに対する反訴状送達の翌日から完済まで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  反訴請求原因に対する認否及び反論

1 反訴請求原因1の事実は認める。

2 同2の事実中、原告が本件協定を作成した原始協定者で、第一期の運営委員長に就任したこと、本件建物の建築を承認したことは認めるが、その余の事実は否認する。

この点に関する反論は、本訴の請求原因で主張しているとおりである。

3 同3は否認ないし争う。本件建物には訴外教会の代表者ら家族が居住しており、その外観も一般住宅と何ら変わらず、そこで行われる宗教行事による音響についても、訴外教会は常に十分注意を払っているから、受忍限度の範囲内であり、被告主張のような被害が発生する筈がなく、現に被告以外の近隣住民から苦情がでたことは一度もない。

第三証拠《省略》

理由

第一本訴について

一  請求原因1(原告の本件地区における宅地造成による分譲販売)、2(本件協定の存在、本件建物の建築着工と仮処分の提起、審理経過)の各事実及び同3の事実中、原告主張の日に運営委員長代行稲村光彦の名で本件建物の建築が承認されたことは、いずれも当事者間に争いがない。

二  ところで、一般に本件のように仮処分決定が異議訴訟等において取り消され、その判決が確定した場合には、他に特段の事情がない限り、当該申請人の過失を推認するのが相当であるが、申請人において、自己に被保全権利等があると信じてその挙に出るにつき無理からぬ事由があったときは、右取消の一事によって同人に当然過失があったということはできないと解すべきである。

これを本件についてみるに、《証拠省略》を総合すれば、次の各事実が認められ(る。)《証拠判断省略》

1  本件紛争は、協定六条の「店舗(医院)併用住宅」に本件建物のような「教会併用住宅」が含まれるか否か、という解釈の相違に起因するものであるところ、この点当該協定の作成に関与した原告側では、これを例示規定とみて積極に解していたが、本件土地等の分譲販売に際し、右の趣旨を土地購入者らに周知徹底させていなかったため、被告を含む大多数の購入者らは、右条項を文字どおり厳格に解釈して、あくまで「店舗」または「医院」との併用住宅に限られるべきで、「教会」はこれに含まれないと考えていたこと。

2  そこで、当時被告は、本件建物が同条に違反する建築物ではないかとの疑問から、原告にその間の事情等を質したところ、原告側の説明では、「教会」もこれに含まれ、かつ住環境も阻害しないと認めたので、訴外稲村が運営委員長代行として、その建築を承認した、との話であったこと。

3  しかし、被告としては、同条の文言自体からも到底そのような趣旨(単なる例示的規定)には解することができず、しかも、当時運営委員会は、事実上開かれておらず、任期一年の委員や役員(協定一〇、一一条)の改選手続等も行われたことがないのに、原告の一従業員にすぎない訴外稲村が委員長代行の名においてこれを承認した点についても、如何なる権限によるのか納得できなかったこと。

4  そこで、被告は、この協定違反の問題は被告一人だけの問題にとどまらず、地区住民全体にも影響する重要問題であると考え、これを泉台五丁目の自治会に提議したところ、昭和五三年一〇月一五日開催の臨時総会において、本件建物は協定六条に違反するものであることが確認され、今後その建築反対運動を展開して行くことが決議されて、被告がその実行委員長に指名されたこと。

5  一方原告側は、右の事態に対処すべく、急拠自治会の役員らに働きかけて説得につとめた結果、同月二一日に行われた会合の席上では、建築承認もやむなしとする意見が大勢を占めたけれども、その後同年一一月一九日頃に再び開かれた臨時総会では、前回どおり反対決議が再確認されたこと。

6  以来被告は、反対運動の実行委員長として、訴外教会に建築工事の中止を求めるとともに、原告に対しては、違反行為について適切な措置をとるようその善処方を再三申し入れて交渉したが、問題は一向に解決されないまま推移したこと。

7  そこで、被告は、最早この緊急の事態を阻止するには法的手段によるのもやむをえないと考え、羽尾良三ら数名の弁護士に問題の協定条項の解釈や出訴権について相談したところ、右弁護士らから、六条は被告の解釈が自然であり、出訴権も疑義はあるけれど、本件のように運営委員長が存在せず、その代行も権限に問題がある上、代行者自身が建築承認の有効性を固執しているため、到底その出訴も期待できない異常な状況のもとでは、協定者の一員である被告らがこれに代わって出訴することも特に許される余地がある、との説明を受けたので、ようやく同弁護士らに委任して本件仮処分を申請するにいたったこと。

8  そして、右仮処分事件の異議訴訟及びその控訴審においても、協定六条の解釈と出訴権(当事者適格)の有無が主たる争点となり、前者については、裁判所でもその判断が分れ、第一審判決は「教会も含まれる。」としたが、第二審判決では「教会は含まれない。」とこれを否定して、被告の見解が事実上支持され、後者については、いずれもこれを消極に解したものの、第一審係属中の昭和五四年三月一一日に開かれた協定者らによる自主総会で被告が運営委員に選任され、次で同月二五日開催の運営委員会で委員長に互選されたことにより、結局出訴権を具備するにいたったとしてこれが是認されていること。

以上認定したような本件紛争の原因、被告が問題の仮処分を提起するにいたった事情、経緯及び当該事件の審理経過、特にその実質的な争点がもっぱら協定条項の解釈という困難な法律問題にあって、しかも、被告が予めその専門家である弁護士に意見を聴取した上、これに委任して本件仮処分に及んでいる点等を合わせ勘案すると、本件の場合、被告が本件建物を協定違反と信じ、かつ出訴権もあると考えたことは、法的知識に乏しい被告としては無理からぬところで、これを非難、咎めるのは酷であり、したがって、この点に被告の過失を認めることはできないものといわざるをえない。

三  そうすると、被告の不当仮処分提起行為を前提とする原告の本訴請求は、その余の点につき判断するまでもなく理由がないことに帰する。

第二反訴について

一  反訴請求原因1の事実は、当事者間に争いがない。

二  そこで、原告の責任原因の点は措き、先づ損害発生の有無について検討するに、《証拠省略》を総合すれば、訴外教会の本件建物は、鉄筋コンクリート造二階建の教会併用住宅で、一階は訴外教会の代表者ら家族の住居に供され、二階だけが礼拝等の宗教行事に使用されていること、その建築に当っては、運営委員会宛に提出した念書の趣旨を遵守して防音設備、外観等に十分な配慮がなされており、特に二階部分の礼拝所については、周囲を二重サッシに障子を重ねた窓とコンクリート壁で仕切り、外観についても、できるだけ教会色を避けて一般住宅風の建築様式にしているので、近隣の住宅などと一見差して変らないこと、訴外教会の行う朝、夕の礼拝は、午前、午後の各七時頃から約一〇分間程度で、その際には信者がこれに参加することは殆んどなく、しかも、太鼓、拍子木、鉦等の使用もほんの数分間にすぎず、そのほか毎月一回の祭日も三〇名位の信者が参集して、午前一一時頃から約二時間行われる程度であること、また路上駐車の点も、僅か数台位で、その駐車時間も右行事の時間帯に限られていることが認められ、これに反する格別の証拠はない。

右認定の事実からすると、本件建物における訴外教会の宗教活動にともなって必然的に生じることのある騒音等の程度は、未だ受忍限度を超えるとは到底認め難く、他にこれを肯認するに足る的確な証拠もない。

三  そうすると、被告の反訴請求も、その余の争点につき判断するまでもなく失当である。

第三結語

以上の次第で、原告の本訴請求及び被告の反訴請求はいずれも棄却し、民訴法八九条、九二条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 永岡正毅 裁判官 岡原剛 裁判官大西嘉彦は、転補につき署名押印することができない。裁判長裁判官 永岡正毅)

<以下省略>

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